リゾートバイト「仲居」体験談
去年の秋のこと。学生の頃に語学研修で短期留学をしていたオーストラリア、ゴールドコーストのホストシスターだったカサンドラ・ウィリアムスさん(ニックネーム:キャッシーorキャス)を京都の旅館へ招いて日本の「おもてなし」接客をしました。
キャッシーとはずっとライブチャットやたまにお互いの国へ旅行の際には連絡を取り合って遊んだりと、ずっと交流が続いている友人の一人であり、またお母様がイタリーなので大学の頃には彼女にイタリア語を少し教えてもらったりもしていました。
そんな彼女と久々にライブチャットで世間話をしていたときに、たまたまリゾートバイトの話になり、「今度は京都の旅館で仲居をする」と話すと「是非寄りたい」と言うので、日程を合わせて来てもらうことにしました。
カサンドラからのサプライズ
「カサンドラ・ウィリアムス」の名前で宿泊予約をしていたはずなのに、当日荷物を持って現れたのは見ず知らずの白人男性。私が戸惑っていると遅れて現れたキャッシーが「私のフィアンセのレイモンド!」と彼を私に紹介してくれました。
私はそれまで彼女に恋人が出来たことも婚約のことも何も聞いていなかったので、ただただびっくり!「彼は日本が初めてなの」と言うので、これは私が彼の日本に対する第一印象になるかも知れないという責任も感じ、いつも以上に緊張感を持って精一杯仕事に臨むことが出来ました。
レイモンドは私だけでなく他の仲居や女将の所作ひとつひとつに注目をしていましたし、感動の言葉をこぼしていました。日本の旅館の仲居のおもてなしの精神は世界的に見てもとても優れているそうです。
特に、お部屋に夜のお食事をお持ちするタイミングなどは「パリの一流レストランよりも格式高い!」と驚愕していたそうです。
美しい「四季」を感じる
後日、キャッシーから聞いた話によると、レイモンドは特に日本人の「四季」の感じ方についてとても興味を持っていたそうです。
特に旅館には四季折々の草花が活けてあるので、目で見て季節を感じやすくなっています。仲居はお客様をお迎えする客室に新しいお花を活けますが、決して一目につく仕事ではありませんが「おもてなし」の心を忘れません。今夜ここでお休みになるお客様をもてなす心でお部屋の準備をするのです。そうした「心」は必ずお客様に届きます。
またお料理にも季節のもの、旬のものを盛り込んでいますから、味覚でも季節を感じることが出来ます。仲居はお料理のご説明もさせていただくので、そうした知識も身に付きます。日本の「四季」の良さを海外の方にお伝えすることが出来るなんて本当に素晴らしいお仕事だと思います。
オーストラリアにも日本と同じように四季がありますが、こんなに深く季節を味わうことがなかった、見習いたいと言ってくれたそうです。またひとつ仲居として素晴らしい体験が出来た瞬間でした。